練馬区独立三〇年を記念して昭和五三年四月に発足した「練馬区史編さん事業」は、五五年三月、まず『現勢資料編』を刊行いたしました。
そしてここに、第二部作として『現勢編』の上梓をみるにいたりました。
『現勢資料編』が、練馬区三十有余年の歩みを、年表と原資料から解明しうるように、数値、統計をできる限り詳細に収録したのに対して、本書は、それを基礎資料として、区勢の推移を行政の各分野別に叙述化したものであります。
練馬区が板橋区から分離独立して以来、今日にいたるまでの三十有余年は、まさに激動の時代と言ってよいと思います。本書はこの機会に、多くの先達の血と汗の結晶の歴史をふりかえることによって、現状を正しく把握し、永劫の未来への指針とするための練馬区民の生活史であります。
しかし、草創の時期をリードされた先賢の多くはすでに物故され、貴重な記録や資料も少なからず散逸もしくは亡失しています。
そのような状況下、東奔西走資料の収集にあたられ、それらを整理、解明のうえ正確、忠実に執筆を賜った主任編さん委員早稲田大学名誉教授滝口宏先生をはじめ委員各位ならびに調査員各位の前書『現勢資料編』に引き続く多大なご労苦とご努力に、深甚な感謝の意を表するものであります。
更に、貴重な幾多の資料を快くご提供賜った関係各官公署、諸団体、その他多くの方々に心から厚くお礼申しあげます。本書が、前書、資料編とともに、練馬区三十有余年の生生発展の足跡を、今ここにひとつのふしめとして長く後世に伝えることができれば、まさに望外の幸せと思うものであります。
昭和五六年一〇月
練馬区長